The Oxford Handbook of Acceptance and Commitment Therapyの最後の章です。この章では、これまでこれまでのれまでの章で解説されたことを踏まえて、CBSという科学がどこへ向かっていくのかということについて述べられています。第1章、第2章で、ACTがどこから生み出されてきたのかについて説明されてきました。端的に言うと、ACTはとても苦労して、綿密に作られてきたということがわかります。これまでの科学のあり方を哲学的なところから見直すという作業は、とてもチャレンジングであったでしょうし、風当たりもとても強かったでしょう。
先日のACT Japanの年次大会で、大月先生が我々がCBSという船に乗っているのだというメタファーを使って表現していましたが、CBSという船を作るために多くの人が精力的にかかわり、綿密にこの船を作り上げてきました。哲学、理論、方法という科学の柱をしっかりと立てて、ACTというセラピーが作られました。この大切に作られた船を、私は丁寧に乗りこなしていきたいと思います。一足の靴や一着のスーツを作るには200を超える工程が必要です。そうやって作られた靴やスーツは手入れをし、大切に扱う必要があります。ACTも同じです。メタファーやエクササイズを、機能的で文脈的な視点がないままに使われるのを見ると、ACTとCBSという船が座礁してしまいそうに思います。
この33章では、CBS(そしてACT)がどこへ向かおうとしているのかが、CBSが作られた当初からの流れの中で説明されています。Skinnerのウォールデン・ツー(Walden Two: 心理学的ユートピア)で描かれた世界(1948年)、そして「我々はなぜ世界を救うために行動しないのか」という問い(1987年)に、前向きに答えていくことがCBSの方向だということが述べられています。
我々行動科学者が世界を変えることに十分に貢献できなかった誤ったステップ(missteps)を丁寧に見返し、それを踏まえてどう行動していくのかが、ACBSのタスクフォースと関連付けられて説明されています。行動科学の誤ったステップ(missteps)として、言語の理論的な説明と進化学とのコラボレーションが十分でなかったことが挙げられ、それを乗り越えていくための行動指針が整理されています。タスクフォースには33のリコメンデーションがあります。それらは5つにわかりやすく整理されて解説されています。プロセス・ベースドCBTやEEMMとの関連、そして、ミドル・レベルタームの重要性などにも触れられていて、CBSの全体像が読み取れる章となっています。まるで、船の行き先を人工衛星から見ているような、俯瞰的な視点の取れる章となっています。
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