旅行のガイドブックを読んでも、ビデオを見てもわからないことはたくさんあります。そこに行ってみないと気付かないことがたくさんあります。ワークショップに参加するというのは、「そこに行く」ことに似ています。

今回のベンジャミン先生のワークショップは、多くの気づきを与えてくれました。

ワークショップでは”noticing”という言葉が何度も何度も繰り返し使われました。ACTのベースにあるのは、気づくという行動にあります。視点を変えてみたり、丁寧に体験を観察することで、自身の行動に影響を与えている”source of influence;影響源”に「気づくという行動」を強めていきます。

私にとっては、「言葉の合気道」のエクササイズを通して、多くの気づきがありました。ACT MATRIXの本に書かれているのは古いバージョンでしたが、それを日本語に直してみると、どうしてもしっくり来ませんでした。このエクササイズは、実際の臨床場面で用いられ、クライアントが日々実践し、習得を促されるものです。「影響源」に気づき、自分自身の行動をトラックして、有用性に基づいて行動を選択していくというやり方を、自分自身のものにしていくためのものです。そういう意図は、本を読んで理解できるのですが、実際にそれがどのように展開されるのか、日本語にしてみても「しっくりこない」のです。

ベンジャミン先生のガイドに従って、「言葉の合気道」を体験すると、自分自身の行動が全く違ったように見えてきます。それはちょっと驚きでした。私は、タバコをやめようと思っています。タバコを吸いたいという気持ちや感覚に気づくことはできます。そして、それに気づきながら、タバコを吸うか、吸わないかを選択するという練習をしています。しかし、その選択は十分なものではありませんでした。大切なことに結び付いていないのです。

私は大切な人として「自分自身」を大切にしたいと思っています(Matrixの右下に書きました)。言葉の合気道をベンジャミン先生のガイドに従ってやってみると、なんと「自分自身を大切にする」ということと、タバコをやめるということが結びついていったのです。今まで、自分自身を大切にするために、いろいろな行動をしてきました。それらの行動の一つの中に、タバコをやめるという選択がストレートに結びつく感覚がありました。こんな単純なことに、私は気づいていなかったのです。多分、これから毎日私は自身の大切なこと、「自分を大切にする」という実践の一つとして、「タバコを吸うか、吸わないか」の選択をすることができると思います。

「言葉の合気道」のロールプレイでは、参加者同士が、セラピスト役とクライアント役に分かれて練習をしました。セラピスト役の参加者やベンジャミン先生と同じように、同じセリフを使い、言葉の合気道を進めていきます。ところが、私の中には、全くなんの気づきも起きませんでした。これもまた大きな気づきの一つになりました。
「どこが違うんだろう」
それを探してみることも、大変有意義な勉強になりました。

ワークショップの後、大変疲れているにも関わらず、私たちと夕食をご一緒していただきました。
そのときの興味深いテーマは「愛」でした。ワークショップの中で大切なエクササイズとして「Kitten 子猫」のエクササイズがありました。以前から、このエクササイズにも違和感がありましたが、その点について色々とお話をすることができました。

「日本人は、たいていの場合、愛してるとは言わないよ」と言うと驚いていました。「じゃあなんて言うの」と聞かれて、一同考え込んでしまいました。

この記事を書いた人谷 晋二先生(立命館大学 総合心理学部)

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