以前にもご紹介したことがあるPerspective Irelandというサイトでは、関係フレーム理論(Relational Frame Theory; RFT)やPBBT(Process Based Behavior Therapy)に関する質の高いオンライン講座が提供されています。RFTの基礎から、HDML(Hyper Dimensional Multi Level)、そしてHDMLを応用したPBBTの講座などがあって,いくつかを受講しましたが、とても役立ちます。
Dermont(Dermont Barnes-Holmes)先生とYvonne(Yvonne Barnes-Holmes)先生が二人で、基礎と臨床の話をするオンライン・セミナー(Relational Frame Theory and Process-Based Behaviour Therapy: Where Science truly meets practice)があったので参加してきました。質疑の時間に45分もかけて、いろいろな質問に答えてくれました。私の聞きたいことも、他の人が聞いてくれたりしていて、とても刺激的でした。あっという間の2時間でした。
Perspective Irelandの講座は,字幕が出ないので(この点はPRAXISの講座の方が親切。PRAXISのサイトでもたくさんのACT関連の講座があります)、いつものようにOtterというソフトでディクテーションをさせながら聞いていました。つまり、画面の左半分でDermont先生が話していて、右半分でOtterがそれを書き起こすという形です。RFTの専門的な話なので、Otterにはちょっと荷が重いところもありますが、内容はわかります。質問は、予め数日前から、用意しておいてカットアンドペーストで、Q&Aに貼り付けました
Dermont先生の話は、なぜRFTはアップデートされなければいけなかったのかというところから始まりました。これはとても面白い話の展開でした。そして、IRAPのデータがアップデートの道を作ってくれたという基礎研究の先生らしいお話でした。HDMLの話が理解できていないとちょっと、初めて聞いただけではむつかしいと思います。この辺りの話はUpdating RFT の論文の内容や最近のIRAPの研究、Harteのルール支配行動の研究、ミドルレベルタームとテクニカルタームの話をグッと圧縮するという密度の濃い話でした。
興味が引かれた逸話としてはDermont 先生とYvonne先生のチームがACTのミドルレベル・タームをRFTの用語に翻訳しようとしたが、それはうまくいかなかったので中断したという話で、これは初めて聞く話でした。Yvonne先生の話は、The Wiley Handbook of Contextual Behavioral Scienceの一章であるScientific Ambitionをベースに、相互作用体としてのROEを、臨床の基礎にするという刺激的な話です。ROEをターゲットにすることで、臨床はとてもシンプルになります。
非常にたくさんの質問がQ&Aに挙げられていて、残念ながら、それらの書き込みを見ることはできなかったのですが、かなり専門的な質問がたくさんありました。Motivating FunctionとROEとの関係は、誰もが聞いてみたくなるところでしょう。質問とDermont先生の回答をきいていると、IRAPの実験をしたことがあるとHDMLはとてもわかりやすくなるし、ROE-Mも理解しやすくなるということがよくわかります。
AARR(Arbitrarily Applicable Relational Responding; 恣意的に適用可能な関係反応)のダイナミックな動きは、IRAPで実験をしてみるとよく見えます。IRAPのデータをDAARRE(Differential Arbitrarily Applicable Relational Responding Effects)モデル(これがMDMLに加わってHDMLになっているのですが)で検討してみると、初めてそこにROEの重要性が見えてきます。そして、その知見を臨床に使う、まさにボトムアップのアプローチです。

