名古屋中京大学で開催された認知行動療法学会では、ACT Matrixに関するシンポジウムを2つ行いました。

シンポジウムでは、複数のシンポジストがそれぞれテーマに沿って発表をしますが、内容の打ち合わせはあまりしっかりとしないことがよくあります。事前にお互いの発表内容をメールでやりとりしたり、前日、ときにはシンポジウムの始まる30分前に、打ち合わせをするなどということもあります。
一方で念入りに打ち合わせを行って、シンポジウム全体の目標とオーディエンスが学ぶ内容を明確にしていくシンポジウムもあります。
我々が開催した「ASD児者へのACT Matrix」の適用というシンポジウムは念入りに準備したものでした。

我々のシンポジウム「ASD児者へのACT Matrixの日本での適用A」は、Matrixの使い方(菅野先生 名駅さこうメンタルクリニック)、ASD者への適用事例(茂本先生、京都文教大学)、ベンジャミン先生のスーパーバイズを受けた体験(坂野先生、同志社大学嘱託研究員)という3つの内容で構成しました。何度かのスカイプを通した内容の打ち合わせ、リハーサルを重ねて、オーディエンスの方に学んでもらいやすいような構成に作りこみました。指定討論の三田村先生(立命館大学)にも加わっていただき、三田村先生の質問もオーディエンスの理解を促すような形、シンポジストの主張をより明確にするような質問をしていただくように構成しました。
当日は教室一杯のオーディエンスの皆様にお越しいただきましたが、アンケートなどでフィードバックを受ける機会を作るべきだったと反省しています。

千葉大学の大島先生が企画した「高機能自閉スペクトラム症の認知行動療法」シンポジウムは、打ち合わせほとんど無しのぶっつけ本番のシンポジウムでした。シンポジウムの始まる30分ほど前に、コメンテーターの熊野先生と全体の打ち合わせを行っただけでした。大島先生はスキーマ療法のASDへの適用を、私はACT Matrixの適用について話をしました。シンポジストはこの2名で、熊野先生がコメンテーターを務めてくださいました。
こういうシンポジウムの面白いところは、立場の違う2人が共通のテーマについて話をすることで、違いや類似点、これからの方向について、前向きな話をすることができることです。しかし、話し合いがこじれることも、度々で、フロアを巻き込んで大混乱となることもよくあります。

コメンテーターが論点、違いや類似点を明確化していくと面白いシンポジウムになります。コメンテーターもシンポジストも面白く、やり取りを聞いているオーディエンスも面白いというシンポジウムとなります。
熊野先生のコメントはとても専門的なものでしたが、ACT とスキーマ療法の違いや類似点を際立たせるものでした。私も質問に答えながら、違いや類似点を見つけることができました。

この記事を書いた人谷 晋二先生(立命館大学 総合心理学部)