前編は、ロビン・ウォルサーのACT for PTSD(国際学会ACBSのワークショップ)からご覧ください。


セラピストが自分自身の学習歴、反応のパターンというものに敏感になることが、セラピーの中で起きている相互関係に影響をするという点が、今回のワークショップの大きな学びでした。この点は、彼女のThe heart of ACTという本の中でも詳細に述べられていますが、それを体験的に理解できたことはとても大きな学びでした。ACTやRFTの理論に精通し、エクササイズやメタファーを使っていても(つまりfidelityの高いセラピーであっても)、ACTのセラピストとしてのコンピテンシーは十分ではないというのがロビンの主張です。クライアントの行動とセラピストの行動、そしてクライアントとセラピストとの間で生じている相互関係を、機能的な視点で分析することが、ACTが目指している協働的な治療関係のコアにあるということだと思います。

このコンピテンシーを育てるために、今回のワークショップは行われていたと思います。セラピスト自身の感情、感覚、考えなどの私的な出来事を観察し、記述する練習から始まり、自身の感情、感覚、考えがセラピーの中でクライアントにどのような影響を及ぼしているのかを検討する練習へ進んでいきました。

例えば、こんなワークがありました。

我々の体験には、感覚、感情、思考などいろいろな次元のものがあります。いわゆるポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあります。このエクササイズは、2人のペアで行われました。パートナーと、お互いの楽しい体験、辛い体験、不安な体験、喜びの体験、恐怖の体験などを語り合います。それらは常に動いている(ongoing)体験であるということを体験するエクササイズです。

ACTのセラピストは、クライアントに感情、感覚、考えに対してウィリングネスを持って接触することを勧めます。セラピスト自身は、どうなのでしょうか。セラピーの中で生じる感情、感覚、考えに対して、ウィリングネスを持って接触することができているのでしょうか。それを2日間のワークショップの中で振り返ることができ、自分自身が回避しているようなクライアントーセラピスト関係に気づくことができたことは、とても大きな学びでした。

ロビンのワークショップは、何度体験しても新たな気づきがあります。今回も、まだ十分に掘り下げられていないことがいくつも残りました。 

ロビン・ウォルサーをはじめ、ACTに関する海外の研修やワークショップは、Contextual Consultingのサイトでも紹介されています。関心のある方は、今後の開催情報を確認してみてください。